妊娠が分かったとき、私は赤ちゃんに会えることを楽しみにしていました。
しかし、その後の診察で胞状奇胎と診断され、大学病院へ紹介されることになりました。
初診時のhCGは33万
大学病院で最初に言われたのは、hCG値が約33万mIU/mLであることでした。
※妊娠の成立や経過を確認するためのホルモン。

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は妊娠すると分泌されるホルモンです。
一般的な妊娠では妊娠初期に急激に上昇し、妊娠8~10週頃にピークを迎えます。
目安としては、
- 妊娠4週:約5~426
- 妊娠5週:約18~7,340
- 妊娠6週:約1,080~56,500
- 妊娠7~8週:約7,650~229,000
- 妊娠8~10週:約32,000~210,000
程度とされています。
もちろん個人差はありますが、胞状奇胎では異常増殖した絨毛組織から大量のhCGが産生されるため、
通常の妊娠より高値になります。
私の33万という数値を見たとき、先生から病気の可能性について詳しく説明を受けました。
hcgは大量に出ていても、赤ちゃんはいません。
1回目の子宮内容除去術
胞状奇胎の基本治療は、異常な絨毛組織を子宮から取り除く子宮内容除去術です。
手術当日は朝から絶食。
空腹のまま病院へ向かいました。
受付後、病棟へ案内され、手術着に着替えます。
その後、点滴のルートを確保。
いよいよ手術が近づいてきたという緊張感がありました。
しかし、本当に辛かったのはその前処置でした。
子宮頸管拡張のためのバルーン
手術前には子宮の入口を広げるためにバルーンを挿入します。
私はこの処置が本当に苦手でした。
処置前に医師や看護師さんから、
「痛みで気分が悪くなったり、失神したことはありますか?」
確認されました。
処置する瞬間は痛いですが、
入った後は、お腹の中に違和感があるような感じでした。
手術室へ
時間になると手術室へ移動。
手術台に横になり、心電図や血圧計を装着します。
手術前にトイレに行くように言われます。
髪をキャップの中に入れ、車椅子に乗り、分娩台に向かいました。
下着を脱ぐように言われて、分娩台に足を広げると、看護師さんが位置を調整してくださいました。
麻酔が始まると意識は徐々になくなり、気が付いたときには手術は終わっていました。
術後、看護師さんに起こされ、ベッドに移動しました。
そのあと麻酔でうとうとしていました。
2回目も同じ流れ
2回目の手術も基本的には同じでした。
朝から絶食。
病院へ行き、点滴を開始。
そして再び子宮頸管拡張のためのバルーン挿入。
一度経験している分、痛みを知っているからこその恐怖がありました。
「またあの痛みを経験するのか」
と思うと憂鬱でした。
手術そのものより、私にとってはバルーン挿入の方が精神的につらかったかもしれません。
麻酔から覚めたあと
手術が終わり、麻酔から目を覚ますと、最初はぼんやりしていました。
無事に終わったという安心感もありましたが、しばらくすると急に強い尿意に襲われました。
自分ではまだふらつきがあり、一人で歩くのは危険だったため、ナースコールを押しました。
看護師さんが来てくださり、付き添ってもらいながらトイレへ向かいました。
麻酔が完全には抜けていない状態だったので、足元がおぼつかず、ゆっくり歩いたのを覚えています。
無事に用を足して病室へ戻ろうとしたときのことです。
廊下で、お腹の大きな妊婦さんの姿が目に入りました。
その瞬間、胸がギュッと締め付けられるような気持ちになりました。
私は赤ちゃんを迎えるために病院へ来たはずでした。
けれど今の私は、胞状奇胎の手術を受けた患者。
同じ産婦人科にいても、置かれている状況はまったく違いました。
妊婦さんが悪いわけではありません。
それでも当時の私は、その姿を見ることがとてもつらく、思わず目をそらしました。
羨ましさ、悲しさ、悔しさ。
いろいろな感情が一気に押し寄せてきました。
手術の痛みよりも、自分が思い描いていた妊娠生活とは違う現実
を突きつけられたことの方が苦しかったかもしれません。
私が病気や流産、不妊治療と向き合っている間に、周りには子どもを3人授かった人もいました。
その人が悪いわけではないと頭では分かっています。
それでも、苦しくてたまらない日があります。
どうして私は前に進めないのだろう。
どうして私ばかりこんな思いをするのだろう。
妊娠や出産の話題を見るたびに、羨ましさや怒りや悲しさが一気に押し寄せてきます。
きれいごとでは片付けられない感情があります。
今日は、その苦しさを正直に書き残しておきたいと思いました。

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