妊娠が分かった日のことは、今でも覚えています。
やっと授かった命。

嬉しくて、これからの未来をたくさん想像しました。
お腹が大きくなっていくこと。
エコーで赤ちゃんの成長を見ること。
無事に出産して、我が子を抱っこすること。
当たり前のように、その未来が続いていくと思っていました。
まさか、その妊娠がきっかけで抗がん剤治療を受けることになるなんて、想像もしていませんでした。
胞状奇胎と診断されたときも、最初は病気の名前すら知りませんでした。
妊娠検査薬で陽性がでる=無事に出産できるというわけではありません。
検査薬で陽性が出て、無事出産までいって何人か産めている人は
きっと本当に本当に恵まれた人達なのでしょう。
私は不育症もあるので、陽性がいままで出たのは5回くらいありますが、
一度も出産に至ったことはありません。
これから妊活、不妊治療する人には知ってほしい。
陽性が出ても、胞状奇胎や流産、死産、子宮外妊娠など
たくさんのハードルがあることを。
そして、絨毛性疾患(胞状奇胎、侵入奇胎、絨毛癌)という
妊娠をきっかけに発症する、時に抗がん剤治療や悪性化する可能性の高い病気が
あることを…..
そして不妊だけでなく、不育症という妊娠はできても、赤ちゃんを何度も失う
経験をしている人が一部いることをぜひ知ってほしいです。
「手術をすれば終わるものだろう」
そんなふうに考えていました。
でも、術後もhCGの値は思うように下がらず、何度も採血を繰り返しました。

結果を聞くたびに緊張して、数字に一喜一憂する日々。
そして告げられた侵入奇胎という診断。
さらに肺への転移。

診察室で説明を聞きながらも、どこか現実感がありませんでした。
妊娠しただけなのに。
赤ちゃんを望んでいただけなのに。
どうして抗がん剤治療が必要になるのだろう。
そんな思いで頭がいっぱいでした。
抗がん剤治療と聞くと、多くの人はがん患者さんを想像するかもしれません。
私もそうでした。
だからこそ、自分が抗がん剤治療を受ける立場になったことが信じられませんでした。
治療が始まると、吐き気や倦怠感との闘いが始まりました。
毎日病院へ通い、注射を受け、副作用に耐える。

妊娠して幸せになるはずだった時間は、いつの間にか治療中心の生活へ変わっていました。
産婦人科の待合室で妊婦さんを見るのもつらかったです。
本来なら私もお腹の赤ちゃんの成長を楽しみに通うはずだった場所。
でも現実は違いました。
私は病気の治療のためにそこにいました。
羨ましい気持ちと悲しい気持ちが入り混じり、目をそらしたくなることもありました。
妊娠したら出産するものだと思っていました。
赤ちゃんを抱ける日が来ると思っていました。
でも、人生には予想もしない出来事が起こることがあります。
妊娠した先に抗がん剤治療が待っているなんて、当時の私は想像もしていませんでした。
それでも、あの経験は私の人生の一部です。
今でも思い出すと苦しくなります。
それでも一歩ずつ前を向いて生きていこうと思っています。
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