診察室で
自分の番号が呼ばれるまで、心臓のバクバクが止まりませんでした。
抗がん剤治療になるかもしれない。
腫瘍はどこにある?
転移はある?
これからどうなる?
抗がん剤治療は長丁場になるのだろうか?
辛いのだろうか?
妊婦さんに嫉妬しながら、抗がん剤治療をしなければならないのだろうか?
そして、ついに番号が呼ばれました。
医師「こんにちは」
私「こんにちは」
この時の医師は、若くてきれいな少し年上のお姉さんという感じの医師でした。
医師「体調どうですか?」
私「まあまあです」
医師「CT,MRI,レントゲンお疲れ様でした。検査結果が出ました。」
もう心臓がバクバクでした。
医師(画像を見せながら)
「レントゲンとMRIには何も見つかりませんでした。」
医師「でもCTを見ると、ここが肺なんですが、肺に腫瘍が8個見つかりました。」
治療方針の説明

医師からの治療方針の説明
全胞状奇胎の処置が終わったが、血流にのって腫瘍が肺の方に
行ってしまい、「侵入奇胎」という状態になること。
肺に転移した腫瘍は8こある。
(小さかったので、レントゲンに映らなかった)
まずは、陰性にならないhcgを下げるために、
メトトレキセートという名前の抗がん剤を注射で打つことになりました。
月~金まで毎日朝から外来に通って、注射を打ちます。
1日目は抗がん剤の副作用がどのくらい影響するかわからないので、
日帰り入院することになりました。
私はその場で診断書を書いてもらい、休職することになりました。
会社へ何と説明すればいいのか。
不安でいっぱいでした。
でも私は両親には病気のことを言いませんでした。
心配をかけたくなかったのか、自分自身が受け入れられていなかったのか、今でも分かりません。
結局、家族は誰も連れて行かず、一人で告知を受けました。
診察室を出たあとも現実感はありませんでした。
病院の廊下を歩きながら、
「なんで私なんだろう」
その言葉だけが頭の中をぐるぐる回っていました。
これから抗がん剤治療が始まることも、この時はまだ実感できませんでした。
ただ、自分の人生が大きく変わってしまったことだけは分かりました。
あの日、一人で聞いた侵入奇胎の告知は、人生で最も孤独で、最もつらい時間のひとつでした。

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